こんにちは。森未来の秋吉です。4月27日(土)神奈川県小田原市で行われた「小田原未来の森づくりプロジェクト」に参加させていただきました。

「小田原未来の森づくりプロジェクト」チラシ

林業家や材木屋、工務店など、木材に関する様々な事業者が、真剣に森について考え、普段から実践していることを発表し、共感者を募るという本プロジェクト。会場には、木材関係者のみならず、主婦や学生など、たくさんの方が集まっていました。私たち消費者が何の気なしに使っている木に、どんな人たちがどんな想いで関わっているかを知ることは、森の未来を考えることの最初の1歩目。「豊かな森を未来に残すために、私だったらこんなことが出来るかも」そんな小さな芽がたくさん生まれそうなプロジェクトについてご紹介させていただきます。

小田原林青会(小田原地区木材協同組合)専務理事の高木大輔さんのお話からスタート。高木さんは小田原120年以上続く老舗「竹広林業」の代表です。HPからも分かるように、竹広林業さんは、木や地域、そこに住まう人々の暮らしを真剣に見つめて、自分たちが考える「本当に豊かな暮らし」を事業を通じて体現されている会社。高木さんのお話は、環境資源から始まり、森の役割や機能、私たちに出来ることなど、多岐に渡りました。

終始笑顔で楽しそうにお話する高木さん。ユーモアのあるお話の中に核心のついた質問が散りばめられており、グッと話に惹きこまれます。

「現在の森林は、量的には数百年ぶりに豊かな森林になっています。一方でその質はあまり良い状態とは言えない。森をきちんと管理するためにも、子どもたちに森の役割を理解してもらうこと、その上で暮らしの中で木を使ってもらうことが大切だと考えてます」

小田原林青会は、公共施設の木質化や地域材の流通センターの整備など、木材に関する様々な取り組みを行なっています。この日は、地元の子どもたちに木の魅力や大切さを伝える「木育活動」を中心にお話してくださいました。「なんで森って必要なの?」「木は切った方がいいの?」普段、子どもたちに問いかけている質問ですが、大人でも答えに窮したり、ハッと気づかされる内容ばかり。私たちの暮らしを支えてくれている木や森について、いかに無頓着であったかを自覚させられます。

高木さんたちが実践する木育の様子
高木さん発表資料

続いてお話してくださったのは小田原林青会会長の大山哲生さん。小田原で4代続く大山材木店の代表でもある大山さん。山から切り出された木がどんな工程を経て私たちの暮らしの中に使われるのか、製材の工程について詳しくご紹介いただきました。

「この子(木)は綺麗でしょ」と、木材に対する愛情が溢れるように嬉しそうにお話する大山さん。

「伐採から始まり、原木の掃除、皮むき、製材、乾燥など、木が商品になるためには本当にたくさんの過程があって、その過程の1つ1つがとても大切なんです。私もまだまだ先代に教えていただきながらですが、木と向き合いながら丁寧に取り組んで、地域や子どもたちに還元していきたいです」

お話の中で垣間見える木への愛情や、先代への尊敬の念。大山家に代々一番大切に受け継がれてきたものは、単に木を切る技術だけでなく、木に向き合う精神性なんだろうなぁ。未来を見つめるようなまっすぐな眼差しでお話される大山さんのお話を聞いて、そんなことを考えていました。

最後にお話くださったのは、小田原市大工職組合副会長の鴛海幸司さん。有限会社おしうみ建築の代表で、地域事業者と連携しながら地域材を積極的に活用した住宅づくりを実践されています。

鴛海さんからは小田原材の特徴や、事業者同士の連携から生まれる価値についてお話いただきました。特に印象的だったのは後者のテーマ。

「小田原は他地域に比べても、事業者同士の連携が整っており、木の所有者から製材、材木屋、建築家、工務店など、互いに顔の見える関係性があります。この連携によって、施主と共に森に入り、立木の状態から自分たちの家に使う木材を選木するようなツアーも可能です。こうした取り組みが、小田原の家づくりの価値になると考えています」

購入するだけだった住宅も、選木から自分たちの手で行うことで、代え難い体験になる。モノからコトへ。小田原の家づくりの価値は、時代と共に変化してきた私たちの価値観を捉え、驚きと感動を与える存在になるのかもしれません。そして、そうした体験を共にした家に住まうということが、冒頭でお話された高木さんが大切にしている「本当に豊かな暮らし」の一端なのかもしれません。

最後に辻村山林の辻村百樹さんが急遽ご挨拶してくださいました。

「日本は世界大戦、震災などで木材需要が急速に伸びたため、国産材だけでは賄えず、外材に頼らざるを得ませんでした。そうしてネットワークされた物流の煽りを受けて、国内の木材事情は大不況と言っても過言ではありません。一方で、この瞬間を諦めてしまったら次の世代に森は残せない。地域の材を地域で使う地産地消は、物流や環境の面でもメリットは大きいので、その魅力をこれからも伝え続けようと思います」

江戸時代から代々受け継いだ資源を、惜しみなく地域活性化のために活用する辻村さん。先日は地元神社の鳥居に樹齢300年の杉を提供されました。

小田原の木材事情について知り、それぞれが自分にできることをする。そうして生まれた小さな芽が、やがて大きな大木になって、私たちの次の世代に豊かな森を残すのかもしれません。様々な事業者が志を同じくして始まった今回のプロジェクトは、きっとそんなきっかけになるのだろうと思います。

第二回は7月6日。竹広林業さんの木材ギャラリーにお邪魔して、実際の木材を見る、触れる機会が用意されています。自分たちの身の回りにある木材にはどんな物語があるのか。気になる方はぜひ参加してみてはいかがでしょう。