16地域から頼まれごとをされてはいけない

地域

何でも屋という大きな間違い

地域おこし協力隊というと、「地域の頼まれごとや手伝いごとをする人」と、認識されていることが多いが、これは大きな間違いである。

これまで何度も述べているが、地域おこし協力隊は、地域が描くビジョン実現のための課題を解決するために導入されている。

したがって、本来、地域おこし協力隊は、地域の頼まれごとをこなす“何でも屋”としての存在ではないのだ。

しかし、地域や世間から“何でも屋”としてのイメージを持たれていることで、地域からの頼まれごとが次々と舞い込み、日々忙殺されてしまうことが多い。

そして、地域おこし協力隊本人も、日々頼まれごとで忙しく過ごしているため、自分の本来の役割を見失い、その日暮らし的に頼まれごとをこなしながら過ごしている。

地域からの頼まれごとをすること自体が悪いというわけではないが、ただでさえ最長3年間と短い隊員期間中に、頼まれごとに多くの時間を費やしてしまうのはあまり良い状況とは言えない。

地域おこし協力隊の導入目的になっている課題解決こそが、地域からの最も優先度が高い頼まれごとであり、且つ、地域外から来た地域おこし協力隊にしかできないものである。

できるだけ多くの時間をそのための時間に費やしたい。

では、何故地域おこし協力隊は世間から「地域の頼まれごとをやってくれる人」と思われてしまうのか?

また、実際に「地域の頼まれごとをこなす“何でも屋”」になってしまっている地域おこし協力隊が出てきてしまうのか?

挨拶代わりの頼まれごとから抜け出せない

理由は大きく2つ。

1つ目は「地域協力活動の導入時は、どうしても地域の頼まれごとをこなさなければならない」ということ、

2つ目は「地域おこし協力隊の導入目的が不明確」ということである。

地域に着任した地域おこし協力隊がまずやることは、地域の方との関係づくりである。

地域の方との関係づくりと一言で言っても、とても大変な作業だ。

お互いが腹を割って話せるほどの信頼関係を築くためには、ただ挨拶周りをすれば良いというわけではなく、やはり地域行事や畑仕事への参加・手伝いなどを通じた、時間と体験の共有が不可欠である。

この時、地域おこし協力隊は、多かれ少なかれ地域からの頼まれごとをこなすことを通じて、そうした時間と体験を共有していかなければならない。

そして、こうした作業が、地域の方にとってどうしても印象に残りやすく、また、新聞、広報誌などのメディアで取り上げられやすいため、世間の方への印象として、「地域おこし協力隊は地域からの頼まれごとをする存在」として認識されやすいのだ。

導入目的(初心)忘れるべからず、で何でも屋からの脱却

こうした認識のズレも、地域おこし協力隊の導入目的が明確化されていて、それが受け入れる地域、行政、協力隊本人としっかりと共有されていれば問題にはならない。

もともと地域おこし協力隊の導入目的は、受け入れる地域と行政とで設定していくものであるため、その2者で明確化できていれさえすれば、本来この2者の間で認識のズレが起きることは無い。

仮にズレが起きてしまった場合でも、しっかりと導入目的に立ち返り、お互いにそれを確認し合うことで、ズレが小さくなり、地域おこし協力隊が“何でも屋”になる前に、地域課題に全力で取り組める環境を整えることが可能である。

さらには地域おこし協力隊本人も、自分の役割について、明確にイメージできるようになり、地域の方にそれをしっかりと伝えることで、地域の方から導入目的以外の頼みごとをされるケースは次第に少なくなってくる。

つまり、地域おこし協力隊が何でも屋にならずに、導入目的である地域課題に集中して取り組むためには、導入目的の明確化と共有が欠かせないポイントなのだ。

ズレを感じたら一度立ち止まる

しかし、こうした導入目的の明確化の作業を怠ってしまっている場合、地域と行政、また協力隊本人の間で認識のズレがどんどん大きくなってしまい、お互いが異なる地域おこし協力隊像を描くようになってしまう。

すると、お互いが異なる思惑を抱くようになってしまい、地域住民は「地域おこし協力隊なら、もっと地域の困りごとを手伝って! 」、行政は「本来やって欲しい課題はあるけど、地域からの頼まれごとも断れなしなぁ」、協力隊本人は「一体何に取り組めば良いんだろう?でも毎日地域からの頼まれごとで忙しいし、これはこれで良いのかな?」という状況に陥ってしまうのである。

こうして地域おこし協力隊の何でも屋化が進んでいく。

こうした何でも屋が悪いわけではないのだが、地域おこし協力隊の任期は最長でも3年だ。

その中で自分のなりわい作りやキャリア作りなどをしていく必要があるし、仮に自分がいなくなったとしても、行ってきた地域協力活動を地域住民だけで回せるような仕組みも大切になってくる。

そうした意味において、地域おこし協力隊の活動には何かしらの軸があるべきであって、手あたり次第に地域の困りごとに着手するのは、有効な時間の使い方とは言えない。

3年間という短く貴重な時間を、地域にとっても、地域おこし協力隊本人にとっても有意義な時間にするためにも、導入目的の明確化と共有を徹底し、それに全力で取り組めるような環境づくりが必要である。

そして、仮に地域おこし協力隊本人が地域からの頼まれごとに追われ、地域との認識のズレを感じ始めたら、1度立ち止まって、行政と地域、地域おこし協力隊の3者で、地域おこし協力隊の本来の目的を見つめ直す機会を作り、本来、地域おこし協力隊が取り組むべき事とは何なのかを再確認するようにしていただきたい。

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